こんにちは。
青年海外協力隊(現、JICA海外協力隊)として、実際にアフリカのザンビアで約2年活動し、国際協力の最前線を経験してきた「学ぶ猿」です。
この制度は、JICAボランティアとも言われたりしますね。
前回、こちらのブログで青年海外協力隊が受ける国内の派遣前訓練について、解説しました。
約2か月間の語学を中心とした、充実した訓練です。
派遣前訓練に加えて、飛行機で途上国に到着した後、その首都で更に約1か月現地訓練を受けることが出来ますよ!
初めてのアフリカ大陸で不安。。。
等という中、私は同期(当時、私の同期は13名程度)と一緒に、JICAの事務所等を拠点として、様々なブリーフィングや語学訓練を受けることが出来ました。
直ぐに各任地の村や町へ赴任というよりは、心身ともにその途上国に慣れることが出来ます。
- そもそも途上国への赴任が不安
- 福島県や長野県といったJICAの訓練所で訓練を受けることは分かったが、派遣後の生活が不安
- 派遣後の現地訓練は聞いたことあるが、実際の内容がよく分からない
この記事を通して、これら不安や疑問にお答えいたします!
なかなか情報が出てこない、途上国派遣後の現地訓練の内容を知ることが出来、「青年海外協力隊」の制度について、更に理解が深まりますよ。
前提~途上国(アフリカ)へ赴任
途上国(アフリカ)への赴任
JICAの国内訓練所(福島県二本松市または長野県駒ケ根市)の訓練を無事終了すると、2-5週間程で日本から各途上国へ旅立っていきます。
私の任地はアフリカのザンビア共和国。
どこ?
という方はこちらの外務省HPをご確認ください。
場所は南部アフリカ。
赴任にあたって、
日本→ドバイ→ザンビア共和国(合計、約24時間)
というルートで行きました。
ザンビアに到着間近になり、空からアフリカの若干赤く見える大地を見た際、
アフリカに着いちゃったー…
となんとも言えない、興奮と不安の気持ちがあったことを覚えています(笑)
私の同期も同じような感想だったようです。
ほとんどの人にとって、初めてのアフリカ訪問ですからね。
ただし、結論を先に言えば、首都生活を1か月ほど送るとザンビアでの生活にだいぶ慣れてくるので、この現地訓練は大分有難いと思いました。
空港に到着後は、JICA事務所が用意してくれたバスに乗り込み、南アフリカ系の大型スーパーに寄る等必要品を購入、隊員ドミトリー(宿舎)に到着してアフリカ生活の初日が終了です。
因みに、同期全員、2週間以内にはアフリカへ行った洗礼(お腹を下す)を受けます(笑)何もかも、衛生的な日本とはかけ離れた環境ですから「通過儀礼」みたいなもの。仲間と楽しんで乗り越えていきましょう!
途上国(アフリカ)の第一印象
私の赴任国、ザンビア共和国は南部アフリカに位置し、「世界最貧国の一つ」等とメディアでもたまに紹介されます。
多少調べていたとはいえ、私も同じような印象を持っていました。
しかし、首都に到着してまず驚くのは、この写真のように「車社会」であるということ。
日本の「トヨタ」や「日産」といった車が多く見受けられ、首都の発展ぶりに驚かされました。
例えばザンビアの場合、以下のような数字が挙げられます。
一人当たりのGDPが2018年当時で、約1200米ドル(約20年前の3倍程度) |
南アフリカ系巨大ショッピングセンターの存在感 |
朝晩の大渋滞 |
中国人約5万人の存在感 |
初日に寄った、南アフリカ系のスーパーでも多くの種類のヨーグルトやジュース、野菜、肉類等が並んでおり、首都の一部の生活だけ見れば、先進国とそうは変わりません。
そして、そのショッピングモールのフードコートには美味しい、中華料理店が入っており、中国系の銀行もよく街で見かける。
なかなか、衝撃が強かったです(アフリカの発展や中国の進出については別記事で解説します)。
勿論、そのような中心街からほんの少し外れれば、想像通りの貧しい地域を見ることになりますが、一部の場所では発展している様子が見受けられました。
さて、ザンビア赴任後の2日目以降は「派遣後の現地訓練」を各種受けることになります。
青年海外協力隊の受ける訓練の内容
関連ブリーフィング
政治・経済状況等やボランティアに関するブリーフィング
政治・経済的なものはセンシティブなものが多く、詳細は割愛します。
ただ、アフリカ各地は元々部族社会です。
ザンビアはじめ、民主主義が根付きつつある国が増えてきましたが、各リーダーが自分たちの部族を優遇することで、部族間の軋轢が生じ、各地に争いの種がある場合も多いのです。
有名なものに、ツチ族とフツ族の対立であったルワンダの内戦がありますね。非常に悲しく、残酷な過去ですが、世界の人々が知るべき出来事です。
ザンビアは独立以降、内戦のなかった比較的平和な国の一つですが、それでも政治と部族間の問題が全くないわけではありません。
経済的に優遇を受けている部族や地域は、やはりそうでない側から恨みや妬みを買っていますからね。
一番初めに受けた、このテーマは日本の国内ではほとんど報じないため、非常に勉強になりました。
特に、アフリカのような途上国では、報道が一部未だに紙媒体なところも多いですからね。
インターネットだけでは、追いきれない報道もあるわけです。
また、私が印象的だったのは以下のJICAボランティア論について。
役立つ(途上国の社会・経済への貢献) |
友達になる(国際交流・親善) |
自身が育つ(グローバル人材の育成) |
要するに、この3つが相関的に全て繋がっているということだそう。
まずは、「途上国の人々に対して役立つことをする」
これを出発点に活動しないと、友人にもなれず、JICAボランティア自身の成長にも繋がらないという格言めいたブリーフィングでした。
途上国の方のために役に立つ活動を行うことを目的に派遣されているので当然ですね。
役に立とうともがく→友人になる→自身の成長に繋げるという良い循環を是非作り上げて欲しいです!
日本(JICA)が行ってきた各プロジェクトの紹介
これも各プロジェクトの詳細は省きますが、
・有償、無償援助での大型の橋や道路建設
・電力関連整備事業
・教育関連プロジェクト
・感染症対策等保健衛生プロジェクト
・井戸等地下水開発
等々、日本(JICA)が行ってきた各種案件を紹介してもらいました。
日本が実際に行ってきた援助の内容を聞くと、やはり少し誇らしい気持ちにもなりますね。
健康管理に関するブリーフィング
各途上国のJICA事務所には必ず、一人は看護師資格を持つ、健康管理員さんが赴任しています。
元JICAボランティアの方が多く、途上国経験等、豊富な知見から様々なアドバイスをしてくれます。
例えば、
・発熱時の対応
・犬等動物に咬まれた時の対応(発症後、死亡率100%といわれる、狂犬病がありますからね)
・下痢時の対応(上記の通り、赴任直後は皆かかります)
・水道水等、水に関する基礎知識(基本は、水道水でも煮沸後、飲む!)
・マラリアを疑われる際の対応(ほとんどの患者は、ザンビア等サブサハラ・アフリカで発生)
等です。
病院受診時の対応まで、思った以上に手厚く教えてくれます。
下記の治安含めて安全第一ですからね!
治安状況に関するブリーフィング
青年海外協力隊(JICAボランティア)が怪我等をする確率が一番高いのが、交通事故。
車の運転も荒く、日本のように歩行者優先でもなければ、交通量が多い場合もあります。
また、自転車やバイクをJICA事務所から貸与されて、現地で乗る必要のあるJICAボランティアもいるので、この点もしっかりブリーフィングしてくれました。
とはいっても、後は自分で可能な限り気を付けなければいけませんが…
私は自転車を貸与され、村の視察やワークショップ等のために乗っていました。
私の場合は、村だったのでそこまで車の量は多くなかったですが、乾燥地帯なので相当ひどい道を走っていました(笑)
その他、治安状況に関するブリーフィングでは
・ザンビアでの一般的な治安状況(アフリカの中では比較的良好。しかし、夜間外出は控えるべき)
・訪問禁止区域(実際に拳銃事件等もあります。首都圏で訪問が禁止されているほど危険な所も)
・犯罪被害にあわないよう予防の徹底(鍵の二重ロック等)
・犯罪被害にあった際の対処(JICA事務所等への連絡他)
等を教えてくれます。
更に、アフリカでの携帯電話の普及に伴い、一人一つスマートフォンを持つことが義務付けされます。
ザンビア事務所の日本人職員さんといつでも連絡を取れることが出来ると同時に、日々の事件・事故の関連ニュースを日本語で受け取ることが出来るようにするためです。
ほんの少し前まで、スマートフォンが普及しておらず、ガラパゴス携帯のようなものでの電話連絡だけのようです。一昔前までは、携帯電話もなく、村唯一の固定電話を使う等。。。アフリカでも随分便利で安全になったようです!ちなみに、推奨された携帯メーカーはほとんど、韓国製か中国製。この二国の海外進出の力強さを肌で感じました!
現地語訓練
ザンビアの場合は、公式上で73の部族(代表的なものは、ニャンジャ系、ベンバ系、トンガ系等)がいます。
イギリスの元植民地なので、公用語は英語。
しかし、現地の村では、先生や医療従事者(アフリカでは、エリート層)や一部の住民は英語を話しますが、田舎になればなるほど英語は話せない。
そういうわけで、各部族のいわゆる「現地語」をしっかり覚える必要があります。
上記のような、各ブリーフィングの時間以外はほとんどこの現地語の勉強に費やしました。
そして、約1か月の現地訓練の最終日は、勉強した現地語を使って、ボランティア活動への意気込みを約20-30人の前で発表します。
この訓練は、「英語」を使用して、「現地語」を学ぶわけです。
福島の二本松市でしっかり英語を勉強したとはいえ、アフリカン訛りの英語を理解しつつ、現地語を勉強することは非常に骨が折れました。
もう半分泣きながら勉強してました。。。ほんと。
他のアフリカ諸国に赴任した友人らによると、どこも同じような状況だそう。特に、アフリカ諸国でJICAボランティアをやりたい!という方は公用語(英語やフランス語等)を日本にいるうちにできるだけ勉強しておくことをオススメします(切実)
無料のオンラインサービス等も今から是非使っていきましょう!
まとめ
前回のこの記事や今回のように、青年海外協力隊は派遣前訓練と派遣後の現地訓練の2回にわたる訓練を受けることが出来ます。
恐らく、他のNGOやNPOでのインターンやボランティア制度よりも相当恵まれている制度だと言えます。
特に、途上国へ派遣されても逐一、安全管理のニュース(~で~の事件があったから近づかないように)を受け、健康管理員の方ともしっかり連絡できる環境は、かなり途上国での生活に対する不安を軽減してくれるのではないでしょうか。
とはいえ、途上国生活のため、事故や事件に不幸にも巻き込まれてしまう方は毎年一定数います。できる限り、各々で気を付けたいですね。
また、派遣先の公用語は、できる限り勉強しておくことを強くお勧めします。
特に、アフリカはどの地域でも「現地語」を覚えないと住民の方とコミュニケーションも取れないですからね。
オンライン等でできるだけ、準備できる時代です。
希望される方は可能な限り、勉強していきましょう!
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