こんにちは。
青年海外協力隊(現、JICA海外協力隊)として、アフリカ南部の村で約2年間活動し国際協力の最前線を経験した、「学ぶ猿」です。
同制度は、JICAボランティアとも言われたりしますね。
世界的な新型コロナも比較的収まり、途上国への渡航も容易になりました。
そこで、様々な理由から「途上国でのボランティアや青年海外協力隊・JICA海外協力隊に興味あるな」と考える方も多いのではないでしょうか?
これは、メリット・デメリットもあるので是非、これらの以前に書いた記事も覗いてみてください!
そもそも、青年海外協力隊とは何か?世界のことや国際協力って何かよくわからない。
なんてお悩みもあるかと思います。
私も青年海外協力隊に参加する前は、その辺のことがよくわからず、近くの国立大学へ通って片っ端から参考書を探し、また青年海外協力隊参加後も読み込み、ざっと100冊以上は読みました。
でも、これはなかなか効率が悪いんですよね(笑)
私はアフリカの他、アジア諸国にも滞在経験があります(プロフィール)。
それらの経験も踏まえて、途上国含めた世界のこと、国際協力、キャリア、語学等に分けておすすめの本を紹介します。
前提‐JICAの青年海外協力隊とは?
まず、日本の国際協力について大まかに説明します。
日本の国際協力について、その方向性である政策や予算を外務省が担い、それらを基に途上国と協議し、支援を実施するのは独立行政法人国際協力機構(通称、JICA)が担います。
ざっくり、
●政策を決めるのは外務省
●その政策を基に実施主体となるのがJICA
と理解するのが良いでしょう。
現地のJICA事務所の方々から様々なお話を聞くと、やはり外務省の方々と協議をしながら支援を進めている様子でした。
その外務省→JICAの流れで例えば、有償資金協力(通称、円借款)として、途上国のインフラ整備等の協力を行っています。
この流れで様々な協力を行っていますが、その中の一つが「ボランティア事業」です。
通称、青年海外協力隊・JICAボランティアといわれる事業(現在は、JICA海外協力隊が正式名称)ですね。
あれ?民間企業やNGOなどは国際協力しないの?そもそも「国際協力」の定義がわからない。。。
この分野は相当ニッチですので、そういう方も多いと思います。
基礎的な部分を以下で解説してますので、ご興味ある方は見てみて下さい!
JICAボランティア・青年海外協力隊向けにおすすめする本‐12選
本題です。
以下では、私が読んできたものの中から特におすすめのものをご紹介します。
私は学生時代に中国留学をし、青年海外協力隊ではアフリカのザンビア共和国へ赴任しています。
その背景や観点も踏まえて、おすすめしていますので、ご了承ください。
個人的には、語学も含めて中国を勉強し、その後アフリカへ赴任したことは非常に良い経験だと思っています。
この点についても後で、記事を書きたいと思います。
途上国や世界への理解を深める本
Fact Fulness(ファクトフルネス)
言わずと知れた、名著ですね。
しっかり客観的なデータを基に、世界の様々な問題を考察しています。
例えば、私が赴任したザンビアではエイズ感染者が非常に多いです。
しかし、約20年前は25%の成人が感染していたものが、様々な事業によって2020年には12%程度にまで減少しています。
同著では「世界は思いの他、良い方向へ進んでいる」と述べていますが、私は途上国の現場からそれを実感していました。
まず、世界の客観的な事情を理解したい時におすすめです。
サクッとわかるビジネス教養 地政学
著者は、防衛省の幹部学校でも授業をされており、地政学のエキスパートである奥山真司先生。
日本に関する地政学的な議論も当然登場しますが、中国・ロシア・アメリカといった大国の地政学的事情も大まかに、わかりやすく説明されている点がおすすめです。
なぜなら、アフリカで生活してみて、やはり存在感が大きいと感じたのはこれらの大国だからです。
国際協力を考える場合、大国の観点を考慮することも必須ですね。
中国のフロンティア~揺れ動く境界から考える
大国の地政学の大まかな流れが分かった後は、中国です。
アフリカ等の途上国で一番存在感を発揮しているのはこの大国ですからね。
私もザンビアの他に、南アフリカ・モザンビークを訪問しましたが、初対面のアフリカ人から「日本人?」と聞かれたことは一度もありません。
アフリカ人は、我々を「ヘイ・チャイナ!」等と時には挑発めいた掛け声もかけます。
それほど、アフリカ人をはじめ東南アジア・大洋州・中南米等の途上国の人々にとって中国の存在は一般的なのです。
因みに、途上国の村で生活していると「”チャイナ”等と言われ続けて、非常に嫌な気持ちになる。現地の人々と交流したくなくなる」という声をよく聞きます。日本人として、中国の存在感を客観的に把握しておきたいですね。
この本の著者は、中国研究の第一人者である東京大学教授の川島真先生。
中国を一方的に批判するのではなく、現地訪問と客観的な見地に基づいて考察している本です。
日本人のためのアフリカ入門
少し古いですが、南アフリカで記者活動をされていた白戸圭一先生による日本人向けのアフリカ入門書です。
アフリカを「貧困」や「部族対立」等のように、一方的なマイナスの事実を切り取って報道することは今でもあります。
そのような、一方的な報道による誤解や偏見を崩してくれる、良い入門書です。
白戸先生は他にも、以下のように賞を受賞している名著を出していますのでチェックしてみて下さい。
ルポ 資源大陸アフリカ 暴力が結ぶ貧困と繁栄【電子書籍】[ 白戸圭一 ]超加速経済アフリカ
さて、白戸先生の本でアフリカに関する認識を改めた後は、最近の名著であるこちらです。
実は、アフリカは現在、ビジネスでも非常に注目されています。
2023年の経済成長率は4.0%と予測されていますし、何より若年層の人口が急激に増えています。
ほんの一昔前まで、固定電話もなかったアフリカの村でも、みんな簡易的な携帯電話を持っています。
教育者や医療従事者のような多少裕福な村人であれば、スマートフォンで一日中ゲームしてますよ(笑)
私も現地でこのような「リープフロッグ」現象を直に見てきたので、アフリカへ赴任する方々には特におすすめしたいです。
~を知るためのシリーズ
ここでは、私の赴任国である「ザンビアを知るための55章」を掲載しますね。
先進国はともかく、途上国に関する情報はインターネットでもあまり豊富ではありません。
特に、アフリカ諸国については尚更ですね。
このシリーズは、実際に途上国へ滞在経験や研究活動をしている方々がテーマごとに書いているので、非常に客観的で参考になります。
他にも、
現代モンゴルを知るための50章 (エリア・スタディーズ) [ 小長谷有紀 ] 【新品】現代フィリピンを知るための61章 明石書店 大野拓司/編著 寺田勇文/編著等、アフリカ・アジア・南米含めて興味のある国のものを探してみて下さい。
また、ザンビアはアフリカでは珍しく、独立以降内戦のなかった平和な国です。
「アフリカ初心者向け」とも言われていますし、青年海外協力隊としてアフリカを考えている方なら是非検討頂きたい国ですね。
実践編~国際協力や現地での活動に向けて
国際政治、客観的なデータ認識、途上国そのものの事情を理解したら次は、国際協力をはじめ、実践に役立つ書籍をご紹介します。
国際協力をやってみませんか
著者の山本敏晴さんの本は、一昔前の青年海外協力隊のバイブル的存在とのこと。
「国際協力師」という言葉もよく使われていますね。
この本は、5W1Hを用いて、どのように国際協力を、誰が行うか等ということをわかりやすく解説してくれます。
大まかに、国際協力についてこの本で把握してしまいましょう。
国際協力~その新しい潮流
日本を中心とした「国際協力学」について、学問として体系的に勉強したいという時におすすめの本です。
日本の有名私立大学の授業でも使用されている本ですね。
また、同書は民間資本やNGO協力といった、政府以外の概念も整理されている点も見どころです。
「外務省やJICA等、政府主体の国際協力はもう古い、企業やNGO等が主体となっても良い」
という主張は、日本の政治家さんからも時折聞かれる主張です。
このような包括的な概念を整理したい時には役立ちます。
途上国の人々との話し方
特に、途上国の村等のコミュニティで活動する方向けの本です。
アフリカ等の現地で、コミュニケーションをとろうとすると、「不名誉な事実を隠そうとする」等の村人の心理から実際とは異なる回答が返ってくることも多いです。
そうならないために、「なぜ?」等のあいまいな質問をせず、具体的な質問を含めたコミュニケーション(「事実質問」と言います)をとる手法が記載されています。
村でファシリテーションやインタビュー活動をする際の参考書ですね。
青年海外協力隊後のキャリアへ向けて
さて、青年海外協力隊に参加すると決めた後は、その出口戦略も是非同時並行で考えてもらいたいです。
なぜなら、協力隊の任期が終わったほとんどの方は日本社会へ復帰し、民間企業等へ再就職をすることになります。
しかし、以下で解説しているように、必ずしも途上国でのボランティア経験が多くの民間企業等から評価されるわけではありません。
今のうちから、キャリアを見据え、語学力を高めていきましょう!
国際協力キャリアガイド
国際協力に携わる政府系機関や民間企業、NGO等を体系的に紹介してくれています。
また、国際協力に関する専門的な知識を身に着けたいと考える、帰国者向けの大学院も広く掲載していますね。
大学院等での学び直しも非常に需要があるため、この一冊で国際協力に関する大まかなキャリアを把握できますよ。
是非、途上国へ行く前に購読したい一冊ですね。
中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく
青年海外協力隊は、TOEICの点数があまり高くなくても合格できます。
私も合格時は300点未満ですからね。
アフリカのように例え、英語が公用語でも現地語が主流の地域もあり、東南アジアの国に派遣されればまず英語は使わず、各諸国の言葉(モンゴル語、ラオ語、テトゥン語等)を使用することになるからです。
自然と生活していれば、ほとんどの赴任地で英語は伸びないということです。
他方、それでは帰国後のキャリア形成において、国際的な分野を考えている人にとっては、圧倒的に不利になります。
英語が苦手な方も、その後ビジネスまたは国際協力等で「国際的に働こう」と思ったら是非勉強しましょう!
この本は、書くというアウトプットも踏まえながらわかりやすく、中学英語の文法を復習できるので、おすすめですよ。
一億人の英文法
中学英語をざっと理解したら、NHKラジオ英会話でおなじみの大西先生の著作です。
こちらは、話すための英文法に特化しているため、非常に実践向きだと言えます。
~形のように、難しい文法の固有名詞ではなく、アウトプットで使える文法知識が必要ですからね。
この一冊で、TOEIC対策にもなりますし、一石二鳥だと思います。
使える英文法をこの本で身に着けて下さい。
まとめ
青年海外協力隊の事業には、冒頭で述べたように、皆さんにとってメリットもデメリットもあります。
それでも、この制度に参加したいという「好奇心」がある方は、今紹介した書籍を参照することをオススメします。
特に、キャリアや英語に関する本でしっかり勉強されることをオススメします。
国際的なビジネスでご活躍されるにしろ、国際協力の業界でご活躍されるにしろ、両者の知識は非常に重要ですからね。
これらの本が皆さんの活動やキャリアに参考となれば幸いです。
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