こんにちは。
青年海外協力隊(現、JICA海外協力隊)として、アフリカ南部のザンビアで実際に活動し、国際協力の最前線を経験した「学ぶ猿」です。
青年海外協力隊は、JICAボランティアとも言われたりしますね。
さて、
- 青年海外協力隊に興味あるけど、JICAのHPだけではよくわからない
- 途上国でボランティア活動に参加する魅力は?
- 青年海外協力隊に参加するメリットは結局何なのか?
等と思っている方は少なくないのではないでしょうか。
確かに公式HPに色々と記載されていますが、実際のメリットについて、詳細に記載はされていないと思います。
公式のHPですから、経験者の率直な感想はなかなか記載されていないのが事実ですよね。
それはしょうがないですね。しかし、「国際協力への登竜門」としても、様々な待遇面を踏まえても、非常にオススメできる制度ですよ。
※JICA等のアクター含め、そもそも「国際協力とは?」と思った方はこちらの記事で解説しています。
本記事では、私が厳選した青年海外協力隊に参加するメリット6つを紹介します。
- 青年海外協力隊に関心がある方
- 途上国でのボランティア活動に興味ある方
- 国際協力の業界に興味ある方
- そもそも海外に行ってみたい方
等に向け、青年海外協力隊として、途上国でボランティア活動を行うメリットが非常に大きいということを解説していきます。
結論~青年海外協力隊に参加するメリットは大きい
冒頭に紹介したとおり、
政府系機関や民間企業、NGO/NPO等で今後も海外や国際協力に携わりたいという方々にとって、同制度は非常におすすめできる制度です!
実際、訓練を共にした同期の中で、
- JICA関連の専門家や職員、国連機関の職員として国際協力に携わっている方
- 途上国と取引している民間企業のスタッフとして活躍している方
- 子ども達に途上国やその経験を積極的に紹介している教職員の方
が大勢います。
他方、途上国でのボランティア活動を通して人生観が変化し、新たな資格・学位の獲得に励み、今まで全く考えてこなかったリサーチ業や研究者の道を目指す方もいます。
途上国で培う語学力や異文化体験を活かした道を模索するにせよ、全く新しい道を探すにせよ、青年海外協力隊は非常に良い制度だと言えます。その理由をこれから詳細に説明しますね。
青年海外協力隊に参加するメリット~6選
お金をもらいながら途上国でボランティア活動ができる
JICAの行う、青年海外協力隊の制度はいわゆる「有償ボランティア」です。
語学学習を中心に行う合宿型の国内訓練、途上国までの渡航費、途上国での現地生活費等全てJICA(日本政府)側から支給されます。
特に、現地生活費は各途上国の経済事情を勘案した額を支給してもらえます。
現地で、よほどの贅沢をしない限り「赤字」にはなり得ません。
そして、2年のボランティアの活動期間を終えて日本へ帰国した際には、約200万円分の「手当(非課税)」を受け取ることが可能です。
これは破格の好待遇だと猿は考えます。
これだけの金額をもらえれば、帰国後ジリ貧にならない。
なんなら、専門性を身に着けに専門学校や大学院へも通えるかも!
はい、その通りです!
猿のように、大学卒業後に多額の奨学金(=要は借金ですよね。私の場合は500万orz)」を抱えている若い方にとっても、これは大変有難い制度です。
他のNPOやNGO団体のボランティアプログラムを調べてみて、「原則自費」で参加するというものがほとんどです。
以上のように、「ボランティア」という名目ではあるものの、ほとんど自腹を切らない形で参加できるこの制度は待遇面でのメリットが非常に大きいといえます。
【ご参考】ボランティアとは? この「ボランティア」について、いろんなツッコミが入りそうですね。因みに、英語の「Volunteer」の語源は、「志願兵」という意味からきています。志願兵とは、自発的に兵役に参加した人たち。 よって、「金銭的給与をもらわない」という狭い意味だけではなく、「自発的に何か活動する」という広い意味として使われているようですよ。 |
一定程度、安全に途上国で生活することが出来る
皆さんが、途上国の生活で一番気になることは、「治安」や「病気」等の問題ではないでしょうか?
実際、私の暮らしていた南部アフリカのザンビアという国には、「マラリア」や「狂犬病」等といった死に繋がる恐ろしい病気が頻繁に発生します。
また、アフリカ人からすれば、「アジア人や日本人=白人」です。
ほぼ例外なく、アフリカ人は「白人=金持ち」という認識があるので、当然狙われやすくなります。
しかし、青年海外協力隊員が途上国へ赴任した後は、スマートフォンを支給され、肌身離さず持つことを指示されます。
また、そのスマートフォンを通して、現地のJICA事務所から定期的に、治安に関するニュースを受け取ることが出来、「危険な場所」等をタイムリーに知ることが出来ます。
更に、健康面でも以下のようなケアを受けることが出来ます。
●途上国に赴任する前には、狂犬病や破傷風等のワクチンを無料で接種でき、赴任後にはマラリアの予防薬が無料で配布される。
●青年海外協力隊の赴任する、全ての途上国にはJICA事務所があり、看護師資格を持つ「健康管理員」が常駐している。何かあれば、すぐにその健康管理員へ連絡でき、「オススメの病院」等を紹介してもらえる。
私の知る限り、他の民間企業やNGO/NPO職員が途上国へ赴任する場合は、同様のケアを受けることが出来ず、全て自己責任であり自己負担です。
勿論、病気や事件・事故に巻き込まれる確率は日本よりは上がります。
しかし、他の組織の待遇等と比べて、非常にしっかりしたケアを受けることが出来るといえます。
無料で途上国に関する知識や語学学習等を受講することが出来る
これも破格の条件だと私は考えます。
※派遣前訓練について、こちらの記事で詳細を記載。
青年海外協力隊の参加者は途上国へ行く前には、福島県の二本松市か長野県の駒ケ根市にある訓練所で、途上国で生活するための知識や語学訓練等を無料で受けることになります。
しかも、おいしい3食付きです!
人生で2回目の協力隊の参加等というレアケースを除いて、ほぼ全員が約60‐70日の班単位での寮生活をしながら、このような訓練を受けるわけです。
当然、途上国に行きたいという元気な男女が一緒に生活するので色々ございますが、これは別途記述します(笑)
訓練のメインは、語学学習。
例えば、英語が公用語であるアフリカ・中南米・アジア諸国に赴任する予定の人は英語を、フランス語が公用語のアフリカ諸国に赴任予定の人はフランス語を、中南米諸国に赴任する予定の人はスペイン語を学習します。
私の場合は、みっちり英語の訓練を受けました。
正直、相当しんどい訓練です。
訓練所入所当時、私はTOEIC換算で約400点未満の点数しかない語学力だったこともあります。
そんなレベルの英語学習者でも朝から晩まで、ずっと現地の実践を想定したスピーキングを中心としたクラスを小人数(1クラス、4-6人程度)で受講することになります。
逆に、ここで約2か月も訓練を受ければ、最低限のことは話せるようになります。
一説には、「JICA訓練所が国内最強の語学訓練所」なんて言葉もある位です。
語学的素養が猿並みになくても、無料で、少人数で、実践的な訓練を受けることが出来るのも大きなメリットです。
語学力が低ければ、本当につらい訓練生活になります。今は、オンラインの発達した時代なので、出来る限り英語力を高めて参加されることをオススメします!
無料で体験レッスンを受けることが出来るものもありますよ。
途上国で2年間活動することによって、「国際協力」へのキャリアが開かれる
これは、「国際協力関係の仕事に就きたいと思う時、スタートラインに立てる」ということを意味します。
例えば、国連関係機関に就職したいと思う場合、日本ではJPO試験が一般的です。
その条件に
①専門性
②語学力
③途上国等での2年以上のキャリア
があります。
他のJICA関連等政府系の仕事に関しても同様です。
「途上国等で2年以上は仕事して、現実を見てきてね」
ということですね!
国際協力はやりがいもありますが、非常に政治的で「汚い」面があるのも事実です。
【国際益と国益】 日本政府によるODA(政府開発援助)大綱に関するが再検討が最近進んでいます。 その議論によれば、「日本の国益になる国際協力」という考え方が今後強まるということです。 逆に言えば、日本の国益にならない援助はどんどん減っていくことを意味します。 途上国が本当に困っているのは、きれいな水を確保できる深い井戸が不足している等の「国際益」。 日本政府含めて、各国の先進国による援助が少なからず「政治的に決まる」ということを是非知ってください。 |
また、以下のような途上国生活そのものの現実も知っておく必要があります。
- きれいな水が水道から出ない
- 停電が頻繁にある
- 日本食が気軽に食べられない
- 途上国の人が気軽に「ギブミー・コイン」と言ってくる
ともあれ、今後国連機関(関連NGO/NPO、JICA等も含めて)への就職も視野に入れている場合は、その条件を一つ獲得できるわけです。
途上国の人々の考え方を理解することができる
これは、猿の中では一番学びが大きい部分でした。
なぜなら、「日本人の行動や考え方が世界の標準では決してない」ということを嫌というほどアフリカ生活で感じたからです。
大事なので、再度強調しますね。
日本の当たり前が、途上国では当たり前ではないのです。
例えば、「ミーティングは午前8時から」と同僚と前日に決めても、当日その時間に始まるなんてことはアフリカではほぼあり得ません。
「アフリカンタイム」
なんても言いますね。
大体、1-2時間後に始まることが常です(早くてですが(笑))。
これは彼らが「非常に怠け者だ」ということを意味しません。
「それぐらい、彼らは目の前のことや周りの人との時間を大切にし、時間をゆっくり楽しんでいる」ということだと猿は理解しています。
勿論、日本に帰ってきて、この「アフリカンタイム」は通用しません(笑)。
ただ、アフリカのその価値観を一部取り入れたことで、自分の人生観が変わり、生きやすくなったと感じています!
これは、ほんの一例に過ぎませんが、日本にはない価値観を得られることで、人生の幅を広げることが出来ました。
日本での仕事は、どうしても「早く」、「効率的」等のことを考えて、息の苦しい生活を余儀なくされます。帰国後の私も例外ではありません。でもふとした時に、この「アフリカンタイム」を思い出していますよ。
青年海外協力隊に参加して、アフリカの友人たちと生活した経験は、間違いなく「生きやすさ」に繋がったと思います!
※この書籍もアフリカ理解のためにオススメです!
年齢が若いうちに参加すればするほど、その後のキャリアの幅が広がる
嫌に現実的な話ですが、これも事実です。
例えば、大学休学中にJICAボランティアに参加している方もいます。
青年海外協力隊は、20歳以上は参加可能ですからね。
海外展開、特に今後人口増加や経済発展が見込まれる、インドやアフリカ諸国に展開しようとしている民間企業にとっては、JICAボランティアの経験は非常に逞しいようです。
日本へ帰国後、そのような民間企業等への就職も視野に入れる場合は、その業種や企業の姿勢にも寄りますが、青年海外協力隊の経験はある程度プラスに働くようですよ。
一方で、
年齢が上がるほど、日本で再就職活動をする場合、若干不利にも働くようです。また、青年海外協力隊の経験を全く重視しない企業も多くあります。
※この辺は、こちらで詳細に記載しています。
とはいえ、看護師の資格を持って、30歳で青年海外協力隊に参加、その後語学も向上したことで保健系の国際協力の仕事に携わることができた、なんて話もよく聞くのも事実です。
一概には言えません。
しかし、日本の雇用環境や多くの民間企業の現状を考慮すれば、若ければ若いほどその後のキャリアの選択肢は広がります。
20代前半で途上国生活をし、それが合わないと思えば、20代後半で全く関係ない民間企業に就職し、再出発を図るなんてことが比較的簡単にできますね。
まとめ
今回は、青年海外協力隊に参加するメリット6つを詳細に解説しました。
因みに、キャリアを考える場合、「国際協力キャリアガイド」等の書籍も非常に参考になります。
一方で、同制度にはデメリットも当然あります。
それはこちらの記事で説明しています。
しかし、国際協力に興味があり、20代前半から後半といった若い年齢で行けば行くほどそのメリットを享受でき、総合的に大きくデメリットを上回るので該当する方は参加を検討してみては如何でしょうか?
猿含め、多くの人の人生が好転していますよ!
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