こんにちは。
青年海外協力隊(現、JICA海外協力隊)として、実際にアフリカで活動し、国際協力の最前線を経験した「学ぶ猿」です。
JICAボランティアとも言われますね。
当然、タイトルにある「訓練」にも、約2か月間参加しました。
新型コロナが落ち着いてきたことで、JICAは青年海外協力隊を積極的に募集しているようです。
青年海外協力隊に合格したら、赴任前に日本国内で派遣前訓練を受ける必要があります。
「訓練で何をやるのかよくわからない」
「途上国赴任へ向けた、しっかりとした内容になっているのか」
等、不安な方も多いと思います。
このような不安から、協力隊への参加に二の足を踏んでしまう方も多いと思います。
軍隊でもないのに「訓練所」という名前使っていますし。。。
私も訓練所に入る前は、TOEICで言えば400点に満たない英語力だったので、アフリカ生活へ向けて非常に不安でした。
おまけに途上国で暮らした経験もなし。
この記事では、皆さんの不安を取り除けるように派遣前の訓練の内容について、しっかりと解説し、訓練所に入る前の準備もアドバイスさせて頂きます。
語学の苦手だった体験者ならではの内容も多く含まれています。
途上国への渡航や訓練そのものに対する不安が大分和らぐはずです!
結論:訓練所の場所と訓練の内容
青年海外協力隊の試験(書類提出と面接)に合格するとその赴任先によって、以下2つのうちのどちらかで約2か月間の訓練を受けることになります。
●福島県にある二本松訓練センター
●長野県にある駒ケ根訓練センター
私の場合は、赴任先が英語が公用語のザンビア(アフリカ)だったので、福島県にある二本松訓練センターでした。
そこで、生活班と呼ばれるグループに分けられた団体生活が基本となり、
●国際協力の基礎学習
●語学学習
●健康・安全管理の学習
●異文化理解
等の項目を学ぶことが出来ます。
因みに、3食分のごはん(栄養も考えられていて、少なくとも私は大満足)や宿代といった基本的なものはJICA側の負担(協力隊参加者は無料)なので非常に有難い制度です。
青年海外協力隊が受ける訓練の内容
前提~男女10人前後の団体生活
訓練所に入所した段階で、明暗を分けるのがこの「団体生活」です。
猿が入所した際は、約180人規模の方が訓練所にいたので約15人前後(男女混合)のグループで生活を共にします。
もはや、合宿!林間学校?
まさにそんな感じです。二本松訓練所は個室が割り振られますが、なぜか男女が隣同士の部屋割りになります。そんなわけで色々なことが起きるわけです(笑)
様々なバックグランド(教育関連、医療従事者、公務員、民間企業等)を持った方々が、一緒に班単位で団体生活を送ることになるわけです。
例えば、
●訓練所の運営側が毎日指示や注意事項を各班の班長へ伝達。
→真面目な班長は毎日班内ミーティングを開いて班員へ直接伝達
→そうでない班長は、ノートやSNS等へ簡単に伝達
●各イベントへの参加についても、班単位で行動。
途上国に行く前の異文化交流ですね。
考え方の違い等が理由で、相当険悪な雰囲気で約2か月間の生活を送る場合もあれば、相当仲良くなるところもあります(笑)
人間なので仕方がない!是非、「おもいやり」と「相手の立場に立つ」との考え方で
この2か月を過ごしたいですね。
国際協力の基礎学習
様々な人が入れ替わり立ち代わり、週に数時間ずつ「国際協力」に関する講座を聞くことが出来ます。
例えば、以下のような話を聞くことが出来ます!
●国際協力の歴史
●日本が受けてきた援助(黒部ダムや東海道新幹線等のプロジェクトが有名ですね)
●日本が行う国際協力のスキーム(無償資金協力、有償資金協力、技術協力)
●青年海外協力隊後のキャリア(民間企業、国連機関、大学院進学等)
「国際協力関連の仕事(JICAや国連機関等)を今後も行っていきたい」という方にとっては、やはり学びが多いですね!
語学学習
当たり前ですが、語学学習が訓練所のメインイベント。
一説ではJICAの訓練所は、「国内最強の語学研修所の一つ」なんて噂もあります。
当たり前ですが、語学で意思疎通取れないと現地でボランティア活動できませんからね。
語学学習の内容(英語の場合)は、
●午前(レベル別クラス)・午後(内容別クラス。例えば、教育や医療関連等)と4-5人の少人数での授業。
●多少の文法をおさらいした後は、基本的にはプレゼン等「アウトプット」中心の授業。
●大量の宿題やプレゼン準備に夕方以降は忙殺される。
●クラスのある訓練所での学習棟では、基本「日本語禁止」。
等、大方こんな感じです。
英語が公用語のアフリカ(ザンビア共和国)赴任だったので、私は英語を学習。。。当時、英語が相当苦手だったので本当につらかったです(笑)この辺プロフィールもご覧ください。
初級言語(モンゴル語やラオ語、ベトナム語、スワヒリ語等)と言われる、普段の生活で学習したことのない言語圏に赴任予定で、それらの言語を学ぶ方々は午前・午後のクラスはずっと同じです。
当然、文法や発音等基礎的なところからしっかり学んでいたようです。
英語だけ、基礎的な文法等は高校・中学で習ってますし、少し特殊ですね。
しかし、どの言語での学習であっても、訓練所には「中間テスト」、「卒業テスト」が筆記・口頭であります。
最低限のスコアを取得できないと、青年海外協力隊として赴任することが出来ず、退所となります。
まさか、そんなことならないでしょ?
いやいや、実際に点数足りず、強制的に即退所となった方を知ってます。一度だけ訓練所に再入所し、再チャレンジできます(一部自費負担有)が、それでも合格できなければ青年海外協力隊として赴任することはできません(要はクビ)。
是非、訓練所に入所前にオンライン等で出来るだけ勉強することをオススメしますよ。
他方、厳しい訓練と引き換えに、2か月の訓練が終われば、各言語でコミュニケーションをとる相当な自信がつきますよ!
健康・安全管理の学習
脅すわけではないですが、青年海外協力隊含めて、JICA関係者が赴任するのは途上国。
なので時折、テロ事件(バングラデシュ・ダッカ)や病気等で命を落とす可能性があります。
アフリカでは「黄熱病」(福島県の野口英世で有名)や「マラリア」等で実際に命を落とすJICA海外協力隊の方も過去にいたようです。
私が赴任したザンビア共和国でも、実際にそのような話がありました。
そうならないために訓練所では、
●各種ワクチンを無料で接種(A,B型肝炎、狂犬病、破傷風、黄熱病等)
●テロにあった時の初期対応の学習(基本的には「無抵抗主義」)
●マラリア等途上国ならではの、病気やその対処法の学習
等を行います。
万が一のことにならないよう、皆ある程度真剣に受講している様子でしたよ。
また、訓練生活では以下のように、様々な「規則」が存在します。
●各個人の部屋は毎回施錠をする。
●夜10時の門限を過ぎて帰所しない。
等々。
その規則を何回か破れば、訓練所のスタッフと面談、更に規則違反がひどければ訓練所の所長と面談等のイベントがあります。
- 厳しすぎ
- 訓練所の規則意味わからん
等様々な不満がありました。
でも、今から慣れない途上国生活に向けて、基本的な安全管理を身に着けるためにもこのような「規則」は大事とのこと!
実際、私もいつも部屋の鍵を閉めるという基本的な習慣を身に着けることが出来ました。アフリカ生活で「施錠する」は絶対不可欠な安全対策ですよ!
異文化理解
青年海外協力隊には、私のように、ほとんど途上国に縁がない者が参加しますので、
●アフリカ等特定の地域について、各種受講
●赴任国の歴史や文化を調べ、班内でまとめる
●疑似体験のアクティビティ等で異文化を感じる
等の機会がありました。
特に、疑似体験のアクティビティでは、実際に途上国が置かれている経済上の状況(安く買いたたかれる貿易関係)や理不尽な突発的状況をゲームを通して理解を深めることが出来ます。
実際に途上国へ行けばわかりますが、
●日本とはかけ離れた文化や考え方
●理不尽な状況
等はいくらでもありますからね。楽しく疑似体験が出来ました。
訓練所での財産
さて、これまで訓練所での訓練内容について解説してきました。
一方、「訓練所で得た一番のものは何か?」と聞かれれば、私は以下のように答えます。
→そこで会った様々な人と友人になり、交流を通して様々な考え方を吸収できたこと
恐らく、ずっと日本の一つの企業や公務員等で働いていたら絶対に友人になっていないであろう、
●社会福祉での経験が豊富な方々
●日本の教育現場でキャリアを積んできた先生方
●集中治療室(ICU)等で第一線で経験を積んできた医療従事者
●大企業で海外での駐在も経験した営業のプロの方々
●消防士等特殊な環境でキャリアを積んできた方々
●なんなら既に海外で修士号(大学院卒)を取得しているインテリ
等、様々な方と交流することが出来ました。
勿論、上記のような訓練で培った知識や語学力も財産ですが、「人脈」を作ることが出来るというのは後々の人生で大きな財産ですよ!
JICAボランティアが終わった今でも連絡を取り合う友人がいますし、彼らから更に「友人」を紹介してもらう、「専門知識」を教えてもらう機会は大変貴重です。
とはいっても、本当に様々な人がいます。
忠告すると、「海外ボランティアに行くから皆、良い人」なんてこともありません(笑)
他の人のことを考えられない、自分の論理だけで行動する5歳児みたいな方もいるので、約2か月間のコミュニケーションを苦労することも。。。
それでも、この訓練所での生活を通して、一生の仲間や中には文字通り伴侶(パートナー)を見つける人もいるので、是非この特殊な出会いを楽しみにしていてください!
まとめ
途上国生活のためのしっかりとした訓練が受けられる、ということがある程度分かって頂けたでしょうか?
様々な人と出会いのチャンスがあるので、その「日本版異文化交流」も是非楽しんでください!
しかし、私のように語学が苦手な人間は、どうしても語学漬な生活を送ってしまい、その交流する時間を確保できない場合があります。
テスト勉強に時間を割く必要がありますから。。。
青年海外協力隊の試験突破のためにも、訓練所生活を充実させるためにも、その後のキャリアの可能性を広げるためにも英語の勉強は前もって、計画的にすることをオススメします。
簡単な文法を押さえて、あとはスピーキングの練習が王道の勉強法ですよ。
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約2か月間の訓練の中心は語学なので、是非前もって準備しておきたいですね。
また、訓練生活では上記のように、医療・安全面、異文化理解の基礎知識もある程度理解できます。
途上国へ行く前に心身の準備はしっかり整うと言えますよ。
実は、途上国に赴任した後の現地訓練もありますが、これは次回で解説いたします。
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